せっかく「男はつらいよ」を全作鑑賞しようというのですから、感想も書いていきたいと思います。
寅さんの父親は車平造。母親は芸者の菊。この菊が家出したあとに父親に引き取られる。
が、16歳のときにその父と大ゲンカをして家出をした。その後、テキ屋となり全国各地を渡り歩き、20年後、突然生まれ故郷の柴又に初めて帰ってきます。
柴又には腹違いの妹のさくら、叔父夫婦がいる。彼らは帝釈天参道に草団子屋「とらや」を経営している。
この一作目で寅さんは初めて妹のさくらと対面します。さくらは独身で、一流企業のOL。ちょうど縁談の話が上司から持ち上がっていた。寅次郎は妹の兄として、お見合いについていくが・・・
このシリーズのベースはこの一作目から固まっていて、寅次郎が柴又や旅先で偶然出会うマドンナに一目惚れし、マドンナのほうも寅次郎に好意をもつが、多くの場合それは恋愛感情ではなく、最後にはマドンナに恋人が現れてふられる。旅に出て終わる、というパターンです。人情喜劇でありながらも、れっきとした恋愛ものでもあります。
寅さんは年に夏と冬、二度帰ってきます。必ず、その度にマドンナが現れて騒動が起こり、盆前と正月前に旅に出てしまいます。
寅さんの職業の、テキ屋とは何なんでしょう。調べると、祭典や縁日のときに、参道や境内に露店をひらき、玩具や食品を売る、小商売のことです。
寅さんが売るものは、たいてい顔相判断の本ですが、たまにレコードや、携帯ゲームマシンといった珍しいものもあります。値段はだいたい500円以下。高額を言っておいて、うまい口上を述べながら、価格を引き下げていき、舎弟がいる場合は舎弟をさくらに使って、客の購買欲を煽る作戦をとります。
最初のマドンナは、帝釈天の御前様の娘、冬子です。
寅さんの好みは、多彩ですが、おもに大和撫子ふうの知的美人に弱いようです。態度がころりと変わります。まるで子供のようです。
「とらや」の面々は「またか」とあきれながらも、うまくいって欲しいと願っていたりします。しかし結局はダメになってしまうのです。「なんで?」と。寅さんが哀れで仕方がありません。
しかし、彼は相手を決して悪く言わないんですよね。傷心を人に見せたくないかれは、心で泣いても必ず笑顔で、去っていきます。さくらやおじさん、おばさんのことを気遣いながら・・・、そしてテキ屋で変わらぬ商売を続けます。これがカッコいいって思うんですね。
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